エピローグ
 

 『絆・いつでも』


 

「ヨコチマ・・・本当に行っちゃうんでちゅか?」

「蛍にもっと広い世界を見て欲しいからな・・・大丈夫、ときどき帰ってくるし、それにいつでも遊びに来ればいいからさ」

「・・・・」


 

 寂しそうな顔をするパピリオ。この数年の間、ずっと一緒に過ごしてきたのだから当然だろう。

 しかし、蛍にはもっと色んな世界を見て欲しい。この妙神山の中だけじゃだけじゃなくて、もっと大きな世界を。パピリオには本当に悪いと思っているけれど・・・。

「・・・おねえちゃん」

 蛍も不安そうな表情を浮かべる。

 この二人にこんな顔をされては、まるで自分が悪人のように思えてきてならないのだが・・・。


 

「こらパピ、お前がそんな顔したら蛍まで不安になるだろ?」
「ベスパちゃん・・・」
「会いたかったらいつでも遊びに行けば良いんだから・・・そうだろ、義兄さん?」
「ああ」

 目線でベスパに礼を言う。


 

『いつも悪いな』
『かまわないよ』


 

 ベスパの目がそう言っているのが分かった。


 

「パピリオ・・・」


 

 ひざまづいて、小指を差し出す。

 俺の意図を察して、俺の小指に自分の小指をからめるパピリオ。

「ん・・・ほたるも・・・」

 自分も入りたいのか、俺たちの小指に引っかけるように、蛍のちっちゃな小指が加わる。


 

『じーーーーーー・・・』

 蛍とパピリオの無言の視線。


 

「ふふ・・・わかったよ」

 苦笑しながら腰をかがめ、三人の絡まった小指に、上からそっと自分の小指をからめるベスパ。


 

 小指と、小指と、小指と、小指が絡まった不思議な山。


 

「お兄ちゃん・・・約束でちゅよ」
「ああ、もちろん・・・約束だ」


 

 そうして示し合わせたように、四人で声を合わせる。


 

『ゆ〜び切〜り、げ〜んま〜ん

 ウ〜ソ付〜いた〜ら、は〜り千本・・・の〜ます

 ゆ〜びきった!!!』


 

 歌い終わる。


 

 でも歌のように、からめた小指は決して切らない。お互いの目を合わせ・・・・・それからゆっくりと放す。


 

 何があっても・・・例え離れていても・・・4人は一緒。


 

 いや、ルシオラもいれれば5人かな?


 

「それじゃあ・・・またな」
「ああ」
「またでちゅ!」
「またね・・・おねえちゃん・・・」


 

 俺たちを祝福するように。


 

 空はとっても・・・・・青い。


 

 --------------そして、宝石のような日々へ・・・・・・







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